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栄花物語
八/初花
寛弘七年とぞいふめる、よろづれいのありさまにて過もていくに、帥殿〈○藤原伊周〉は、ことしとなりては、いとヾ御心ちおもりて、けふや〳〵とみえさせ給、なにごとも月ごろしつくさせ給へれば、いまはいかヾすべきとおぼしなげき、さるはおとヽしよりは御封なども、れいのおとヾのさだめにえさせ給へど、くに〴〵のかみもはか〴〵しく、すがやかにたてまつらばこそあらめと、いとおしげなり、