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位封は、諸王諸臣の位階に従ひて給する所の封戸なり、又有品親王の品階に由りて給するお品封と雲ふ、而して無品親王に給するは、品封の類とす、
位封は孝徳天皇の朝に始まりて、大夫〈五位〉以上給せしお、文武天皇の大宝年間に至り、三位以上に止まり、四位五位には位禄お以てせしが、慶雲三年に、毎位に其封戸の数お益し、且つ四位までに給ひ、位禄は五位の一位に止まる、然るに平城天皇の大同三年に、大宝の旧に復せり、中世に至りては、品封も位封も其戸数減省せり、有品の親王剃髪すれば、定額の封お収め、更に無品親王の封お給す、無品親王の封は、令に定制なし、類聚三代格、大同四年六月二十三日の太政官奏に引く所の大同三年六月二十九日の式には、無品親王食封二百戸、男女並相同とあり、
婦女の位封は、男子の半お受くることにて、内親王の品封も亦之に同じ、然れども妃、夫人、嬪の位封は全給するなり、尚蔵、尚侍の位封も、旧は減半なりしお、淳仁天皇の天平宝字四年より全給せり、
散位の位封は、無故不上二年の後に給することお停むる法にして、在任の入の位封は、百二十日不上なれば給せざることヽす、又封主身歿すれば、当年の封は即ち収めずして、全く喪 家に入る、而して僧尼にも通常の位階に准じて、位封お賜ひしことあり、