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賜封は、令制定むる所の職封、位封、功封の外、別勅お以て特に賜ふ所の封戸にして、一に別勅封とも雲ふ、
増封は、本封の外、特旨お以て封戸お増益するお謂ふなり、故に又益封とも雲ふ、
賜国は院宮摂関大臣納言参議等に、闕国の国守お賜ひ、其所得お収めて以て公私の用に供せしむるお謂ふなり、蓋し中世以降、封戸の制漸く弛廃せしかば、代ふるに此新法お以てしたるにて、撮関にして親ら三国の吏務お掌り、将軍にして九国お知行するものあり、因て其国お指して知行国とも沙汰国とも雲ひ、其国守お謂て名代国司若しくは仮名国司など雲へり、而して其之お賜ひたる年限の如きも、初は必ず国司の一秩四年お以て限とせしが、後には希に之お子孫に伝へしめたるものもありき、猶ほ年官年爵篇、官位部国司篇、政治部売官位篇等お参看すべし、