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時服は、別勅に出づることにて、中務省にて掌り、絁、布、鍬、鉄等お、夏冬の二時に賜ふなり、
親王諸王の時服は、無品の親王、内親王、及び諸王の年十三以上の者に給す、但し親王、内親王は、叙品すれば給することお停め、諸王は、其身任官し、及び五位以上に叙すれば累給せずして、季禄と王禄、即ち時服とお比較して、其中の多きに由りて給す、但し其任官せる人、上日満たずして季禄お受くること能はざれば王禄お給す、中世に至りては、時服お賜ふ王お四百二十九人と定めたり、而して女王の禄は白馬節会、新嘗会の翌日に賜ふ、事は女王禄篇に詳なり、
諸司の時服は長上番上お分ち、上日お計へて給し、侍従、次侍従等は更に夜おも計ふるなり、而して参議以上は給せざる例なれども、古は大臣にも給せしことあり、又諸司の長官以下に偏く給ふにはあらずして、賜ふべき官衙卜其人とお択て賜ふなり、又妃、夫人、嬪、及び宮人にも、其等に従ひて時服お賜ふ、