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空穂物語
楼の上下之一
さるべき所お思ひめぐらし侍に、こヽはいとさわがしく、かんのおとヾの京極お、さるべきさまにまかりいでつくらせん、このころ伊賀の守じするお、みやうねんの院の御たうばり(○○○○○○○)お、ことし申させ給へと、女御どのヽ御おんぞきこえさせ給て、さるべきやどもは、ひとヽせつくらせて侍り、