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今昔物語
二十七
美濃国紀遠助値女霊遂死語第二十一
今昔、長門の前司藤原の孝範と雲ふ者有き、其れが下総の権の守と雲ひし時に、関白殿に候ひし者にて、美濃の国に有る生津の御荘と雲ふ所お預かりて知けるに、其御荘に紀の遠助と雲ふ者有き、人数有ける中に、孝範此の遠助お仕ひ付て、東三条殿の長宿直に召上たりけるが、其宿直畢にければ、暇取せて返し遣ければ、美濃へ下けるに、〈○下略〉