[p.0386][p.0387]
地方凡例録

物成詰之事
是は知行渡しの節、高百石に付、米三斗五升入、百俵の当りにて、米三拾五石免にて三つ五分に当る、公儀より私領え渡る、村々免は高下あるに付、其村々の物成、本途並に小物成米、永郷帳組の分お打込み、高百石、三つ五分に当るやうに割合、三つ五分より高免の村方あれば、又下免の村お差加へ、高には拘はらず、物成にて増減いたすゆえ、物成詰と雲、然し拝領高千石の物成、四百石有之、免四つに当るとて、三つ五分に当るやう、千石の高お減少いたし渡す儀はならざるに付、三つ五分に当るべき村方お糺し、割合て相渡す、又千石の村、下免にて三つ五分の物成に不足なれば、外村にて不足だけの米に当るやう、千石の上に高相増し、込高にしてわたす、是は新知のことなり或は村替等有之分は、三つ五分に拘はらず、隻今まで納め来る本途に、物成の石数お以て引替、双方の村方、本途小物成お打込て、物成詰にて引替る、古来は万石以下計り物成詰にて、万石以上は物成に拘はらず、石高にて引替るよし、然る処何れの頃よりにや、近来万石以上も、村替加増地等物成詰に成たり、夫も国替所替等の節は、物成詰にならず、有高にて引替る故、国替には甚損益あり、〈○中略〉偖又万石以下の御役人、知行所よろしからず、御役中御蔵前取願有之引替るときは、是までの知行千石の物成、につ五分、三つ位に当る共、御蔵前にては百石百俵の積り千俵渡しに付、三つ五分に当る、かやうの類は物成詰には無之なり、