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役俸に、役知、役料、役扶持、役切米、役米、役金、足高(たしだか)等の種類あり、役知は、遠国官の最も重き者に給する役俸にして、京郡所司代、大坂城代等に賜ふ、多き力万石以上に及ぶ、役料は、切米と同じく、春夏、冬の三季に分ちて、金、米、併せ給す、寛文中、大番頭以下の役料お定め、享保年間、役料給与の法お制し、以て永式と為す、役扶持は、毎月給するものなり、役切米は、賄方の下吏に給し、役米は、中間小人に給す、役金は、遠国奉行等に給す、多きは三千両、少きは一両に至る、慶応中、役俸の制お改め、布衣以上の吏の役知、役料、役扶持お停め、代ふるに役金お以てし、三月、六月、九月、十二月の四期に支給す、老中一万両、若年寄四千両、以下各、差等あり、但し家禄の多少に由て、役金の全額お給するあり、半額お給するあり、或は全く給与せざるもありしなり、足高は、勤役中俸米お加給するお雲ふ、初め徳川幕府役料の制お定めたれど、各自家禄の高下なき能はず、故に其小禄の者の為に、享保八年、新に有司足高の制お定む、例へば、高家は千五百石高なるお以て、千石の家禄にして之に任ずる者には、五百石お加給する類是なり、足米(たしまい)は持高の上に俸米お加へ給す、又足扶持、加扶持等あり、畢竟足高にして、専ら小吏に給す、