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有徳院殿御実紀附録

恩賞お施さるヽも、くだ〳〵しくしなおたてらるヽは、ものおやぶさかるやうに見えて人心服しがたし、すでに此頃有章院殿〈○徳川家継〉御廟の番せし先手頭の人々、宿直の日数によりて差おさだめ、十日以上の者には時服三、その日数にみたざる者には時服二お賜はりしときく、かヽる些細の事に御心お用ひ玉ひては、苛察に過るとも申べきか、またこたび私おかまへし代官等お罪せられしはことはりなれど、かく贓罪の者お罪し玉はヾ、会計よくとヽのひ、いさヽか私なき者には、褒美の賜にてもあらまほしきことにや、