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空穂物語
国譲上二
大将宮の御もとにまうで給て、物はきこしめしつや、なにおかまいるべきときこえ給へば、内侍のすけ、物もきこしめさず、けづりひおなんめす、大将あなおそろしや、いみしくいむ物お、宮かゝればこそいやさりつれ、ひくはてはいかでかあらむ、さきに物いむといひつつ、くはまほしき物もくはせずとの給へば、あな心うや、くひ物(○○○)むつかりおくすゝ侍り、いひてきこえむとていて給てん、〈○下略〉