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嬉遊笑覧
十上飲食
武家にて昼飯くふこと昔はなし、其も動きはたらく者はくひしなり、今昔物語などに、昼の養は往々見えたれど、夕飯は見えず、これ又多く二食なるにや、籠耳草子に、侍は中食といひ、町人はひるめし、寺がたには点心、道中はたごやにては昼息みといひ、農人は勤随、御所方にては女中のことばには御供御といふ、これおあやまりておこゞと雲はわるしといへれど、さばかりにも非ず、きのふはけふの物語、えんりやくじの小ぼうし、御とき過て山へ木葉かきに行とて、ちごのちうじき(○○○○)おぜんだなにあげおき、其下に小ぼうしがひるめし(○○○○)もおきて雲々、小法師ばら山へ行さま、おちごさまこゝに御ひるが御座る、九おうつたらばきこしめせと申雲々、