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今昔物語
二十九
具妻行丹波国男於大江山被縛語第廿三今昔、京に有ける男の、妻は丹波の国の者にて有ければ、男其の妻お具して丹波の国へ行けるに、妻おば馬に乗せて、夫は竹蚕簿(えびら)箭十計差たるお掻負て、弓打持て後に立て行ける程に、大江山の辺に若き男の太刀計お帯たるが、糸強気なるに行烈ぬ、〈○中略〉而る間昼の養(○○○)せむとて、薮の中に入るお、今の男人近には見苦し、今少し入てこそと雲ければ深く入にけり、