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沙石集

得仏教之宗旨人事金剛王院の僧正実賢、年たけて後仏法の心地ある弟子に、物語せられけるは、〈○中略〉武州の或寺の長老、宋朝にわたりて、彼寺の行儀おうつしおこなふ故に、十三人の僧お、十二人は寺官にさして、点心いとなみける時、一人の僧おば、堂僧とて点心おくはせず、大なる寺に堂僧おほかる故に、官人ばかりに点心するお、まほる格式おこがましくこそ、此事は宋朝まで聞たる勝事也、