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続古事談
二臣節
大入道殿〈○藤原兼家〉摂政におはしける時、法住寺のおとヾ〈○為光〉よりはじめて、おほくの上達部、一種物おぐしてまいりあつまり給けり、か子てちぎりありけるなるべし、閑院の大将は、銀の鯉の腹の中に、こなますふゆこみおりひつに入ていれられたり、小一条大将〈○済時〉は、銀の鰭鮎の桶に、あゆおおりびつに入ていれられたり、左衛門督重光は、酒一瓶子、雉一枝、春宮権大夫公季は、銀の葉餅、修理大夫懐遠俎、摂政殿の御まうけあり、盃酌管絃ありて、人々の禄、随身のこしさしまでたまひけり、右大臣みづから馬のつなとりていで給ひけり、