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瓦礫雑考

団魚会(だんぎよくわい) すつぽん俗にうなぎなどお賭にして多く食ふものあり、いとたはけたるわざなり、唐人もかゝることおするよし見えたり、括異志雲、今時食鼈之人、心既好食、又招賓友、聚会而食、号団魚会、彼此以所食多寡為勝負雲々とあり、鼈は土鼈にて、今すつぽんといふもの也、団魚といへるもこの物の一名なり、〈江戸の俗にふたといひ、京師の俗にまるといふも、そのかたちによりて、異名つくること同じ意也、〉もとすぽんといふは、かれが鳴声のすぽんすぽんと聞ゆればなり、夫木集のかめのなくなるといふ歌も、此およめるなるべし、