[p.0056][p.0057]
世俗立要集
一食事の様さ子あらん物おば、懐にせよと雲なり、すべてはれにもけにも、盤台の上にまさなげにくひちらす事はすまじき事也、物一も盤台にこぼしちらすべからず、さわ〳〵とくふべし、菓お食して、さ子皮いたじきにも、庭にもなげちらす事はうたてき事也、主君の御前なんどにては、すこしもちらさずして、たヽうがみにも取入に立べし、さしもなからん所には、ひとヽころにしらくべし、将門かゆお飲残したるお、にはにしやくとすてたりけるおば、王相なしとはしりけり、ゆおのみのこして庭にすつる事は、心おとりする事也、又主君の前にめしちらしたらむ物おば陪膳の物わざとひたらすとも、便にとりてすつべし、むなしき折敷坏物のくづなんどつもらすべからず、