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貞丈雑記
六飲食
一本膳に山椒と焼塩とお少おきて出す事、山椒は脾胃の気おひらき食おすゝむる物也、医書にみえたり、又塩は食の咽につまりたる時、少くいつめば、つまりたる食咽お通る物也、それゆへ山椒と塩おおいて出すなり、人の元に行て食する時、山椒など取て食ふ事はあるまじき也、食咽につまりたらば、塩はくひつむべし、山椒はむせるものなれば食ふべからず、