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建武年中行事
元日節会、内弁大臣陣の座につきてことおおこなふ、〈○中略〉内弁御膳お催す、下殿してこれお仰す、内膳のかみ已下南階のもとにすゝむ、けいひちのこえお聞て群臣たつ、これよりさきうねべすゝみて草とむにつく、役送のうねべ御づし所の中のばん二もちてすゝむ、陪膳のうねべ〈かみおあげたり、やくそうはあげず、〉御だいばんのおほいお〈両めんなり〉とりて、二ながらおの〳〵御ばんにすへてこれおまかる、くだ物もとより御だいばんにあり、ばとうばんはしかいおなじくあり、臣下のだいばんにも、くだ物はしかいかねてすへたり、はれの御膳四種已下八ばん(盤)供じぬれば、やがてわきの御膳お供ず、もし程おへば、内弁もよほす、其詞雲、御後の職事や候、わきの御ぜんとう〈あるひはのこりの御ぜんともいふ〉五位蔵人西階のへんすのこにて、これおもよほしおこなふ、おほよそ御ぜんのくさ〴〵その名はあれども、その姿いづれとわきがたし、内膳などたしかにいまだたづねとはず、てんせい(黏臍)、ひつら(饆饠)、かつこ(餲粘)、けいしん(桂心)などやうの物なり、こんとん(餛飩)、さくべい(索餅)は、めぢかきものなれば、さだめて人もおぼつかなからず、