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四季草
六秋草下
七五三 七五三の膳と雲お、今世しらぬ人は、本膳にさい七つ、二の膳に菜五つ、三の膳に菜三つ、くみ付る事とおもへり、それは七本立、五本立、三本立とて、菜の数の事なり、七五三の膳部にはあらず、七五三といふは、先づ三とは式三献なり、膳三つあり、〈引わたし、うちみ、わたいれなり、〉五とは五献出すお雲、其五献は、初献享雑〈ざうにのことなり〉添肴あり、二献まんぢう添肴あり、三献あつ物、〈吸物の事なり〉四献むし麦〈ひやむぎ、ぬるむぎ、時節によるべし、〉添肴あり、五献やうかん〈又水仙かんの類〉添肴あり、右の膳何れも組付け物あり、七とは、飯〈湯づけにても同じ〉七の膳まで出すお雲ふなり、是等の食物の調様は、庖丁の家々に伝へて故実ある事なり、武家の知る事にあらず、庖丁家に尋ねしるべし、