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料理山家集
普茶と卓袱と類したるものながら、普茶は精進にて、凡て油おもつて佳味とす、卓袱は魚るいお以て調じ、仕様も常の会席などに別にかはりたる事なしといへども、蛮名お仮てすれば、式と器ものゝ好とに心お付る事専要なり、猶数品調ずる内に、けんちへん、或めづらしきよせものしんじよ、魚でんなぞに、珍らしく佳味なる品お工夫する事お好とする也、但し普茶は下戸の好もの、卓袱は酒お進る仕やうと心得て吉、大よそ蛮名ゆへに、調る所も唐めかしたる事と心得違へて、一向酒の進まざる品のみにする、甚しきたがひなるべし、