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浪華の賑ひ
二篇
茶臼山此地は天王寺の西南にあたりて、一心寺の後なり、旧の名荒陵といふ、慶長元和の年間御陣営となる、是より後当山に登ることお禁ぜらる、又此南の向ふに邦福寺といふ禅刹あり、此方丈の座敷より眺望殊に美景なり、春秋の花紅葉はもとより、蛍、水雞、時鳥、萩、薄、菊、女郎花、雪の景色一しほよくして、遊観たへざる勝地也、且知音の徒乞ふに任せて、普茶の料理お出せり、