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倭訓栞
前編十佐
さかな 肴およめり、下酒の物おいふ、酒魚の義なるべし、魚鳥に肴といひ、菜蔬に蔌といふ、山肴野蔌などいへり、広韻には凡非穀而食者曰肴、或作肴、通作淆、と見えたれば、字義は必しも海味に限らざる也、禁中の式に三つ肴すはりてといふ事見えたり、さかなおはさむお、唐山にて過菜といふ、魚舟に到て魚お買者、もしさかなといへば、拒んで与へず、肴は些少のものなれば、向来お祝すといへり、