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梅園日記

めぐり玉勝間〈つら〳〵椿のまき〉に、いはゆる菜おば昔はあはせといへり、清少納言枕冊子などに見ゆ、又伊勢神宮の書にまはりとあるは、伊勢の言歟、此国の今も山里人などまはりといふ所あり、〈又枯野のすすきの巻に、菜おばまはりといふこと、大神宮年中行事に御廻八種とあり、○図略〉按ずるに伊勢国のみの言に非ず、京及び筑後などにてもまはりといふとぞ、海人藻芥雲、御菜おばめぐりと雲、常におまはりと雲はわろし、四条流庖丁書雲、たこきりもるべき事、飯の御回ならば、如何にも薄く丸く可切、大上臘御名之事雲、女房ことば、さい御まはりなどあるにて知べし、扠まはりはめぐりの俗言也、菜おしかいへるは、古画お見るに、飯おば中に菜おばめぐりにおきたればしかとなへしにや、