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空穂物語
蔵開中
すみとりにおのこすみとり入て、たてまつりたまへり、あつまりてけうじてみなとりすべ〈○べ一本作え〉てまいるほどに、おほひなるしろがぬのひさげに、わかなのあつもの(○○○○○○○○)ひとなべ、ふたにはくろほうおおほいなるかはらけのやうにつくりしぼめておほひたり、とりところにはおんなのひとり、若菜摘たるかたおつくりたり、それにそわうの君のてしてかくかきたる、君がため春日の野辺の雪まわけ今日の若菜おひとりつみつる、あついものおば、かくなんつかうまつりなりにたる、きこしめしつべしやとかきつけて、ちいさきこがねのなりひさごお奉り、きしのあしおり物にたかくもりてそへ奉り給へり、