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料理談合集
うしほ煮加減の事鯛のあら 魚にしばらく塩おふりおき、なべにしほお入て、かなじやくしにてなべにすりやきつけ、だしお入煮立て、さて魚のしほおよくあらひおとして入、すこしたまりおとしあんばいする也、同 是は酒のすぎたる上のかげん也、此時は魚おしほ湯にてゆがき上て、水にてよくあらひおき、さてなべにしほおやき付、水ばかり入て煮立、出すまへに右の魚お入る也、但し湯のにごらず、たるきうまみなきやうに仕立る事肝要なり、小鯛もみぎのとふり也、かつお 是も酒の上のうしほのごとくしたてゝ上〈げ〉ぎはに大こんのしぼりしるおとしてよし、あぢ 夕がしのあたらしき鯵のぜこおとり、口よりわたおぬきよくあらひ、さつとしほおふりおき、だしにたまり少しやきしほかげんして煮たて、魚入て煮て出すなり、はまぐり 祝儀ときの仕やうなり、なべに水七分に内へ中はまぐりお十五ほど入、まづにてからもみもすくひあげ、別にはまぐりの大きさのそろひたるお酒にてむし、身おはなし貝およくあらひて、かいの両方へみおひとつゝ入て碗へもり、右のしだしおかけて出す、但し一碗にはまぐり二つくらひ入、精進のうしほ よきこんぶしほのまゝ水にて煮出し、たまりすこし酒すこしおとしてあんばいする也、もづこ とさかのり みるふさ ところてん草 焼いも さき松だけのるいよし わさびのしるはなすも吉