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大草殿より相伝之聞書
一のぼりいかだくみやうしだいの事は、したの板は魚の切様七刀にて候、切たるは八つにて候、もちろんまる鮎たるべく候、其うへに六つ盛也、其上に三つの板には、右には五つ、これはひがきもり也、其上にふたおするなり、いかだの中おかやにてよきころに、かやの本おかなむすびて、順にひねりさしはさむべし、かやのさきおばおなじやうにきる也、筏のさほおさし、網お順にねぢまはしおく也、さす花の方おば人の左になし、さほはほそ方人の右になし候、一くだりいかだのくみやう、下にふたつ、上にひとつひがきの様にくみて、上の板に五刀にきりて六つに盛、其さきの下の板に、五つに切候て、六つにもり候、前の下の板、右の方にはうすみお三つもる也、又左の方にはおくまお二つに切て、二切れおくなり、前の板の上には、ひとかさね五つに切、六つにもる、もちろん魚の腹の方さきに成也、さてふたおして、かやにてむすぶなり、結びやう先同前、一のぼりいかだ集養の事、左にはしお取なおして、其後右にて花おぬき、両の手にて花おかんずる心もちおして、我右の方のたゝみにおきて、又右にていかだの棹おぬき、順にまはして棹のさきお我が前になし、おしきのふちにかけておく也、其後左の手にはし持ながらゆひ、ふたにて筏おおさへ、右にてゆひ、かやおとき、さかてにとり、我前にひき、又左の手おそへて、さか手にかやおとり、其後右の手にて棹おさか手に取、棹とかやとお取て、かやおかたむすびに結て、さて棹おとりなおし、右の手にてかやおおしきの前におく也、其後左の箸と筏の棹とひとつに取そへて、右にて筏の板おかはらけの前によせ、上のふたお取て、さらかはらけのさきにおき、又其下の板お筏にくみ、棹お板のさきにさし、其後花お両の手にて取て、前のごとくかんじて、扠ふたの板の左の方のさきに、花のりんお我左になし置て、其後又右にはしお取なおし、すこしかんずる心もちして、集養の時は、いかだの上のいたお、ふたの板の上にちとちがへてかさね、其後はしお取なおし、魚のかしらおすしほのあたりにおろし、その次より集養有也、又も集養ある度にはしお取なおし、二番めの板おふりなおし、其下の板の魚お集養は同前、