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四条流庖丁書
一当世わろき事ども、何には針栗お入、針生姜お入事、いかなる口伝ぞや、ほや汁にはりぐりお入事は、ほやの毒お生栗にて可消ためにはりぐりにして入也、から鮭の水あえに生姜お針にして入は、水あえと名お指たる間、水毒お可消ためなり、け様に万事昔より飼鋪以下の事迄も、その徳おほめたるによりて定置所也、鮒の子膾に当世はり生姜お入事、如何なるどくぞや、若辛みの為歟、然ばおろして入よかし、乾鮭の水あえにはり生姜お入事は、へぎ生姜の心にてあればこそあれ如何、但毒おとりたるはり栗とはり生姜とお参たらんは如何と申、不審有べし、そこに口伝有、