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大草殿より相伝之聞書
一鮭のしらねあへの事、先さけお白水に付ておき候時、むくの葉又柿の葉、柿のかはもよし、是お白水に此内一色入て、明日の客来には、よひより白水にてひたし候へば、いかにも白く成候、さて能比取いだし、いつもの水にて二三度もよくあらふべし、扠鮭のみお手にてわり候へば、いかほどもこま〴〵われ候、又さけのかはおば、魚のおのかたよりおしまき、いかにもこまかにきり候、ながきはいかほどもながきが能候、扠ねぜりおもとはきらずして、ゆにてすこしゆがき、取あげてせりおばすにひたし置候、あへやうはもちのこめおいりて、ほどばかしけしおいりて、べち〳〵にこまかにすり、けしとかつおゝ米のこよりは少多くいれ候、一つにくはへて物にてうるしこす様にこし候て、さけおあへ候、其後もり候て、はじかみおはりのごとくこまかにきり、同あんにんお又こまかにきりてうへに置也、あんにんなき時は、たうにんおも入候、