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鼎左秘録
鮒淀川煮の法鮒弐三寸より五六寸位までの魚お、凡長日なれば二時計、短日ならば三時ばかり酒に浸し置なり、猶鱗はそのまゝ、腸は泥沙およく去るべし、右のごとく酒にひたしたるものお、酒水おの〳〵等分にして、文武火(すみび)にて半日ばかり煮て、其上醤油お少し入れ、又酢お少し入て、また文武火にて寛く半日ばかり煮るなり、前後凡一日ばかり煮るなり、但し右の酢お入ること誠に極秘事なり、左すれば其骨すこしも歯にこたへず、真に麩お喫と同やうになるなり、