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嬉遊笑覧
十上飲食
後撰夷曲集、花に酒月に芋くふ春秋も冬にはいかですぎ焼の鯛、〈行重〉桜陰秘事に、杉焼のまはり振舞して、町衆四五人参会、伊呂三絃に、面々杉焼も鯛青鷺ならでは喰れずと雲々、杉焼と雲に二種あり、これは料理物語に、へぎやきといへり、鴨お大きにつくりたまりかけ置て、皮お煮身おはさみ入、一枚ならびにおきやくことなり、又調味抄に、杉の箱又面々和鼓(ふくさみそ)にとぶろく加事もあり、鯛もしくは鱸〓(こち)鮭、取合に葱よく茄(ゆで)て、又後卵餅お入煮と有、面々といへるは、面々杉焼なり、是古の杉の折櫃なり、又一種は一代男に、杉板につけて焼たる魚(とヽ)お定りの蛸、漬梅色付の薑雲々、〈其外雁の板やき鴨の板やきあり、〉