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今川大双紙

食物之式法の事一れうりする人心得べき事、魚鳥はあぢはいよき所お、主人にも又上座の人にも参らすべし、鳥の焼物は別足のみお前盛にして、ひたゝれの身おばうしろに盛なり、べつそくはあぢはいのよき間、先まいらせべき為也、秘事、いかのみも雪まろばしの骨とて、羽節の骨お上に盛也、是もあぢはいよき所お参らせべきため也、鷹お取飼時、山わすれの筋おかふと雲も、此羽ぶしの筋のあぢはいのよき間、山にわけ行べき心おわすれてなづくゆへ也、白鳥雁なども別そくの身とわたは、あぢはいのよきが故に、上方には参らすると雲也、鯛の汁も首の身おば上方にまいらするゆへは、目とくちとの間べつしてあぢはいのよきが故也、