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四条流庖丁書
一鳥の別足と雲事、別なる足とは如何なる事ぞや、朱雀院の御時とかや、足の四有鳥あり、其御代天下太平にして目出かりし也、それよりこそは、別足とは申伝き、今も雲雀にても鶉にても、足お立て盛時、賞玩の人なれば足二立べし、其外は足一立にても不苦、天子或京鎌倉の将軍などへは、足お四立ること自然に有之、是も別足の心にて、天下お祝たる心也、然に無左右四立る事不可有と雲々、雲雀の足おば後爪長お一残して、残の爪三おば切捨べし、鶉おば足おも爪おも其儘置べし、雲雀おば爪一残し、鶉おば足お其儘置事口伝ことなる事にて有お、道お不知者共、小鳥ならば足お可立事とや推量仕て、鶉其外小鳥の足お立る事共口惜事也、