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法皇御幸九条殿饌物雑記
享保七壬寅年三月廿七日壬子、九条前関白〈輔実公〉亭〈識仁○霊元〉御幸御膳〈懸盤六脚〉儲居次第、 御打敷〈表青地小紋錦、裏平絹に藍打物也、在上差青玉、長八尺三幅也、但以金尺定之〉 懸盤六図 御膳色目御打敷〈紺地小紋錦打裏二藍有玉上差〉一〈第一の御膳第二の御膳と称す、皆効此、〉 御飯〈御器皆銀器也〉二 四種〈四種共に塩梅お加へずして、銀の窪かなる御器にもる、〉 〈酢酒〉 〈塩醤〉馬頭盤〈銀御箸一双、銀匕一支、木御箸一双、木匕一支、〉三 窪器 海月〈割て少し塩梅お加る也〉 もヽきこみ〈雉鴨等にてつくる鳥醢なり、民間に雲、たヽきと雲様のものなり、其鳥の品は時の庖丁宜に従ふ、〉鯛醤〈鯛の肉おきりあへて、たヽきの如くなしたるもの也、醤の字醢となしてみるべし、〉 鰭鮑〈鮑の切積の類なり、昔は出雲の名にして、彼国より供せしとなり、〉四 菓子四坏 松子 柏子 干柿〈民間に雲枝柿也〉干棗五 干物四坏 焼海蛸子 蒸蚫 千鳥〈塩鳥也〉 筋破〈鮭の肉お干たる也、此四種少づヽ塩梅お加て之おもる、〉第六 第三  〈高盛器物図之〉第五 第二   第四  第一 六 生物四坏 鳥 鯉 鱸 鯛〈此四種も庖丁お加へ、少宛塩梅お加、〉七 居折敷 御汁物 鯉 追物(追て出す義也)〈於毛牟幾別足〉 〈此二名共に焼物と雲が如し、肴の品は庖丁の時の宜に従ふ、〉八 御酒盞〈居折敷在台并蓋〉九 御銚子〈銀片口入御酒〉