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宗五大草紙

料理の事一主人貴人の前にて、魚鳥等焼事あらば、先炭の火にてもあれ、又たゞのおきにても、半分前へ掻出して、おきぎおよくならべて、其上にて焼べし、やきはてゝそのおきのぶんお物にすくひて取べし、蛤おやくには、はまぐりのとぢめお小刀にてきりて、其きりめおうへになして、口の方おあつばいの中へふか〳〵と入て、その蛤におきおかけてやく也、今の切口よりあはお四五度ふき出したらば、やけたると思ひ、かんなかけに取上、小刀にて口おあけて参すべし、