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貞丈雑記
六飲食
一いにしへは殿中お始め諸家にても、酒宴の時庖丁人出て、魚鳥お切て御目に懸る事有、其切様(○○)、庖丁方の作法(○○○○○○)あり、まな板持参し様の法(○○○○○○○○○)も旧記に有、其比は庖丁お習う人も多かりしなり、今は庖丁の法知りたる人少し、庖丁の故実世にすたれたる故、食物も古法お知りたる人少き故、調味のしかたも新らしき事のみ多く、あらぬ事ども多し、