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貞丈雑記
七膳部
一活きたる鯉のはねる時は、目お紙にて張り、尾お包む也、板の上にてはねる時は、尾お切りたるがよし、かやうの事お知るお庖丁人の秘事古実といふなりと、四条流献方口伝書に見へたり、一藻分塩分と雲板の上にてする所作なり、先藻分と雲は、庖丁にて魚おなでる事也、塩分とは庖丁にて鳥お撫でる詞也、鷹鳥は飼方おおろし、飼方お上へして、式より上の方へ直し、右の方に置也、首は左也、余の躬は下の方へ置也、射鳥は矢目お賞玩して、鷹の鳥の飼方の所へ直す也、