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武家調味故実
一雁切事、一の刀に二の羽ぶしおて切てさしかさねて後、一の羽ぶしお重て可切事、大事成べきなり、かさね羽ぶし是也、身おおろす事、ふつうのごとし、但うしろお前にかきまはしておろす事もあり、是は前おおろしかけての事也、但雁のくぼねおさらぬ様にて、あふのけに押しもぢらかして、くぼねおきればよく切也、〈○中略〉一雁のくぼねつく事、たとへば雁のくぼねおつく事は、左右の羽ぶしお切て、くぼねおば鳥に付ながら身おおろす事有、くびおぬきぬれば、見にくき事あるゆへに、かやうに切事もあり、