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松屋筆記
初編
日本の料理庖丁の発りの事一山蔭中納言、四条藤原の政朝卿は、日本料理并庖丁の祖也、何れの慶賀にも鯉魚お職掌する事お第一と祝ひ給ふ、凡魚として飛竜と成によりて、高貴の祭とする事、鯉にかぎる也、もとより鯉は中通りの鱗、大小にかぎらず三十六枚お具足せり、是お工夫し給ひ、鯉に三十六枚の庖丁お作り給ふ、彼卿の清光お尊て、世に四条流(○○○)と号すと也、