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宗五大草紙

色々の事一庖丁仁覚悟両様に申候、板ゆるぎ候へば、よくおし直す共雲、又包丁仁いろふはまじき事なり、見物衆板の足などにものおかふべしとも雲、包丁仁は必えぼしかけおすべし、公方様には進士大草両流お御用候、流々あまたある事にて候間、一へんに不可有、舟中にては魚お常のごとくにはおくべからず、魚おかへす事おせず、其儘きる様におくべし、又大草流には、まなばしのさきおばかけすくきのやう成かねお、箸の先に入られ候なり、又刀おとりかへて切べからずと申候、又白鳥などの塩鳥は、能つかへお引くつろぐべし、