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勘者御伽双紙

爨法の事たとへば、釜にて古米壱升五合お食(めし)に焼んと欲するとき、其水何程と問、答雲、水壱升九合三勺七才五、術曰、米の升目お置て、是お九倍して定法二升おくはへ、得数お八つに割れば、水の升めしらるゝなり、しかれども升め又は火の焼やうそまつにてはあひがたし、故に諺に、食たくば、始めちよろ〳〵、中くわつくわ、親はしぬるとふたとるなと雲伝へたり、但し塩の入食と、鍋にてたくとは、少し水お控ふべし、