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類聚名物考
飲食一
おばな色のこは飯(○○○○○○○○)この事よくもしれぬ事なり、薄のあくにて染るなどもいへれど、是もしるしとすべきこともなし、尾花栗毛などいふ馬の毛色なども有おおもへば、うす赤き色なるべしとおしはかる、南史の任昉が伝に、唯有桃花米廿石といふこと有、これも色によりての名とぞ思はるゝ、また留青日札に、桃花飯言飯紅潤之色といふによれば、これらやあたるべきに似たり、されどもいかなるわざおして色おつくるにや、また自らなる色かもしるべからず、或人は今此方にていふとうぼうしといふ米は赤き物也、それおいふかともいへれど、思ふにすべて西土の米は我国の如きはすくなし、さらばかくわかちいふまじきにやとおもはる、