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貞丈雑記
六飲食
一湯漬は、東山殿〈慈昭院義政公〉御酒に酔せられしにより、供御に湯おかけて参りしより始りし也、依之湯漬の時は、先盃お出して、扠湯漬お出すなり、〈○中略〉又湯づけ食ふには、先めしに湯おかけて食て、さいは一番に香の物よりくひ初る事、同記〈○酌并記〉に見えたり、ゆづけは右にある如く飯に替る事なし、膳お出して直に湯桶(ゆたう)お出すこと、常の飯には替りたり、今世上に湯漬と雲は、さい数お少くするなり、本膳には汁お置かず、二の膳に汁おおいて出す、本膳、二の膳共にさい数は不定事也、