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三省録
二飲食
治世乱世の武士の事、〈○中略〉乱世の武士の義は、治世の武士とは大に違ひ、〈○中略〉その身軍陣に立候ては、塩のかきたて汁おすゝり、黒米おそのまゝ飯にたきたるばかりお、給べならひ候お以て、世上無異安穏なるときの朝食とても、料理数奇食このみ仕る義もこれなく、〈○中略〉我等わかきころは、武家の下々には、杵のあたりたると申如くなる下白のもつそう飯に、糠味噌汁おそへて給させ申如く有之候は、右申戦場に出て、黒米飯(○○○)お塩じるにて給べ候、仕くせ故の義なり、〈○下略〉