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守貞漫稿
後集一食類
飯鄙で麦お交ゆ、或は半粳半麦、或麦七分粳三分、其他分量不同也、又麦に全麦と割麦と二種あり、臼お以て曳割たるおひきわりむぎ、略てわりとも雲、全麦お丸麦と雲、全麦は先づ麦お炊ぎ、而後米と合せ、炊かざれば、熟炊ならず、故に割麦お以て、粳米とともに、釜中に炊ぎて、一時に熟飯となる、又三都にても、往々麦飯お用ふることあり、然れども食之に麦交食のみお食する者希にして、多くは薯蕷お摺り、汁お合せとろヽと雲て、麦飯の上に加之へ食す、加之者又専らあぶり青海苔お揉み粉として加之、しからざれば鰹節の煮出し汁おかけ食す、煮出し汁には、紫海苔、大根卸しお加之、其他陳皮、胡菽等種々加之、〈○中略〉又三都は節分の日等、恒例として食之也、食之にはとろヽ及だし汁お用ふ、或は当日及び平生も素麦飯お好み、或は養生の為に、三都中にも食之人無きには非ず、