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嬉遊笑覧
十上飲食
田楽、かならず菜飯に添てくふは、完永ころよりなるべし、懐子やく田楽に身もこがれつゝ、来ぬ人お待にござれば菜飯して、菜飯は似せもの語に、はらにあける菜飯はいつもくひしかどけふの花見に似るこめもなし、むかしは花見遊山などには、菜飯おたきて持ゆけり、〈○中略〉土御門泰邦卿東行話説、目川にて時に群集して喰ける菜飯田楽、我もこのもしく雲々、白き扇のたゝんでつまいとこがしたるやうなるおもて来る人の目川忍びて、そとくひて見たれば、思ひの外に味なくぞ有ける、当風にあはぬ大きなでんがくはむかしのなめし残すため川、