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徳用食鏡
肥前の船頭飯味噌汁お濃(こく)たて、蕪お厚さ五六分に切り、〈大ならば、又二つに切、小ならばそのまゝ、〉右汁に入、やはらかにつぶるゝ位に焚、扠飯は常のごとく焚て、右蕪お椀によそひ、其上に飯お少し盛てかきまぜ食すべし、別に菜のものなくて食することなれば、米すくなくいるのみならず、大ひに徳用也、是お船頭飯といへる事は、肥前唐津辺の浦々の漁人、或は船子など焚て食するによりて、土人かくよべると見えたり、