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躾方明記

一方飯の事、飯の上おたいらに盛て、其上に何にても時分の物おすへて、粉五様の物お五所に盛なり、春はせりにても、なづなにても、夏は竹の子、秋しいたけ、松たけ、是は生くり、青のり抔の様なるもの、何れも〳〵いかにも細〈く〉ひき、其物の色とあぢのうせぬ様にあへにて、飯の上に中に一所、扠四方にもりて、その時分の物おくう人の方へなして置也、扠ひや汁にてもあつ汁にても、たれおまいらせべし、ひや汁は時分のものおうき身にすべし、又物によりてもり様の事は、物のなりに盛なり、いか様にも盛てもくるしからず、菜おおかぬも有、又置もあり、汁の方お入かるゝもき別にもいだすなり、汁はあつくも、ひやなしもうくる也、