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醒睡笑
五人はそだち
一飯後の湯出たるに、風味ことにかうばしく大にすぐるゝなどほめけるお、女房聞つけ、うれしげに、のうれんのひまよりかほさし出し、お湯のかうばしきもことはり也、たき物おくべた程にと、座にいたるみな〳〵も、耳にしみてぞかんじける、中に一人うらやみ帰り妻にかたれば、それしきの事おば、誰もいふべきものおとあざわらひぬ、知音およびならべ、飯の湯お以前のやうにとゝのへいだし、人々かうばしやとほむるとき、ねうばうはゞからず、御湯はかうばしからふ、柴お三束くべた程にと、