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類聚名物考
飲食一
屯食 どんじき宗固問、鳥子、つゝみ飯、大かた下ざまへ給ふ物に候歟、今も葉につゝみて、飯など給ふこと、東武にもあり、屯食は庭上にたむろせる人に給ふ心歟、鳥のこといふも、今雲は、餅のよくつかざるおいふにや、むすびたる形お鳥の卵に見たてたるにや、胤相答、屯食裹飯下ざまへ給ふ料の物と被存候、しかし屯食は指る所広き名にて候歟、〈○中略〉殿上記雲、飯百櫃、酒百缶中屯、食百具、一具、中取一脚、各置中折櫃十合、就中二合菓子、二合鮮物、二合干物、二合甘塩魚、一合塩梅、一合土器箸、屯食之事、説々有之候へども、此文にて其体よく相見え申候歟、盛屯食、荒屯食など申は、飾様の名と相見え申候、和屯食と申事も有之候歟、盛屯食と同事の様に被存候、庭上に百具二百具も並べ立るより屯食の名お得たるにやと被存候、庭上に屯する人に賜る故の御説も、本拠なくては如何にて候歟、猶承度候、俊明案るに、盛屯食は、今雲木かたなどにてうちぬきたるの類歟、荒はかたなくもるにや、和は和揉の意にて色など交れる歟、若又荒と同じき歟、盛は鳥子とおなじく、にぎり飯にや、