[p.0473][p.0474]
守貞漫稿
後集一食類
雑炊〈古より有之、足利家は七種の粥お用ひず、七種の雑炊お用ひ、御みそうづと雲、御みそうづは女詞也、〉今世京坂にては、男女ともにぞうすいと雲者専也、江戸にては男女専らおじやと雲、於滋也、字未詳、是も実は女詞なるべし、今制雑炊は味曾汁お以て米に葱お交ゆるお、京坂にてねぶかぞうすい、江戸にてねぎぞうすい、其他三都とも、種々菜蔬お交へ定り無之、又京坂にては、かきぞうすいお食す、味曾汁炊也、蠣お交る也、是お雑炊の上製とす、又京坂正月日には、塩雑炊と雲て、味曾お用ひず、菜お切交ぜ雑炊とするお例とす、切餅も交ゆる也、又三都ともに、希には味曾お用ひず、醤油制にするもあり、